小林よしのり

富岳のシミュレーションの結果論文を読むと・・

小林よしのり

日々の出来事
2020年 10月 26日

泉美木蘭さんとの共著『新型コロナ 専門家を問い質す』
の短縮タイトルをわしは「専問い」にしようと言っていたの
だが、生放送で泉美さんが「コロ問い」の方がいいと言い、
すると視聴者が「コロ問い」の方がいいと、わしに反旗を
翻した。
確かに「コロ問い」の方が、コロナをイメージするからいい
のかもしれない。
仕方がない。短縮タイトルは「コロ問い」にしよう。
「コロナに関する専門家への問い」ということで、「コロ問い」
ということだな。

その「コロ問い」の最終チェックを、昨夜、りか坊と電話で
延々とやって、大変だった。
あれはりか坊だからわしも忍耐できるけど、普通ならもう
「あんたが好きにやって!」と叫んで、逃げ出していた
かもしれない。
けれどりか坊、大したもんだよ。

その中で一番苦労したのが「富岳」のシミュレーションの
評価で、理化学研究所がまとめた論文の8月と10月の
内容が、ごちゃ混ぜにされて報道されていて、泉美さん
とも話し合って、重要な点に気付いてしまった。

やはり富岳のシミュレーションの「マスクの防御効果」では、
10月の報告で、「大きな飛沫」については、上気道に入る
飛沫数を3分の1にする効果があるが・・・
「20㎛以下の小さな飛沫」に対する効果は、マスクをして
いない場合と、ほぼ同数の飛沫が、気管奥まで達する
との結論になっている。

一般的には、飛沫の大きさは5㎛だと様々な文献で説明
されている。
つまり世界一のスーパーコンピュータ・富岳のシミュレー
ションは、20㎛以上の大きな飛沫を設定していたわけで、
5㎛以下のエアロゾルだと、マスクはほとんど効果がない
ということになる。

これは重要な科学的結論なのに、正確な報道がなされ
ていない。
あるいは記者が論文を読んでいないか、読めないの
かもしれない。
科学は科学として、正確に受け入れなければならない。
その科学の結果をどう現実に反映するかはまた別の
問題である。

「しないよりはマシ」という考えの人もいるだろうが、
その程度なら、他人の「苦しいからしたくない」という
「個人の自由」を侵すべきではない。
「マスク警察」の跋扈を許すべきではない。

基本的にマスクは一回ごとに捨てなければ、細菌が
繁殖して不潔すぎる。
マスクをつけている人の半分以上は、昨日と同じ
マスクをつけているはずだ。
清潔好きの日本人としては、細菌だらけのマスクを
嫌悪すべきである。