高森明勅

秋篠宮殿下と皇位継承

高森明勅

皇室・皇統問題
2020年 10月 11日

今後の皇位継承はどうなるか。
天皇陛下の後は皇嗣の秋篠宮殿下が即位されると、
漠然と思い込んでいる人もいる。

想像力の欠如に少し驚く。
秋篠宮殿下は天皇陛下より僅か5歳お若いだけ。
陛下が上皇陛下と同じ85歳で譲位された場合、秋篠宮殿下は
既に80歳になっておられる。

以前にも指摘したように、それからのご即位というのは、
余り現実味があるまい。
実際に、秋篠宮殿下ご自身がご即位を辞退される旨の
ご発言があったとの報道があった(朝日新聞、平成31年4月21付)。
極めて重大なニュースなのに、宮内庁はそれを否定も訂正もしていない。

制度的には、今の皇室典範のままでも事実上、即位辞退は可能だ
(3条、園部逸夫氏『皇室法概論』)。

昭和天皇の弟宮の高松宮が、天皇より4歳お若かったにも拘らず、
2年早く亡くなっておられた事実も、思い出される。
ご高齢の場合、そのような事例は必ずしも珍しくない。
そうかといって、ただ単に、秋篠宮殿下のご即位を可能に
することだけを理由に、天皇陛下がお元気なうちに、
早めに譲位されるというのは、この度の、上皇陛下の
“国家・国民の為の”ご譲位と、趣旨が違ってしまう。

秋篠宮殿下のご即位を既定の事実であるかのように
決めてかかる訳にはいかない。
皇位の安定継承について冷静に検討する場合、
こうした点についても目を背けてはならない。

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