高森明勅

皇位の安定継承、政府は「正解」と政治的配慮の狭間で葛藤か?

高森明勅

皇室・皇統問題
2021年 5月 7日
現在のわが国の最大の政治課題は、皇位の安定継承を目指す
皇室典範の改正だろう。
 
しかも、既に具体的な取り組みが動き始めている。
「先延ばし」を続けて来た政府を追い詰めて、
やっとこの局面にまで持ち込めた。
まさに千載一遇の好機だ。
しかし、もしこれが挫折すれば、現在の皇室の方々の年齢構成から考えて、
取り返しのつかない事態に陥りかねない。
 
問題の所在、その解決方法、政府はとっくに、
全て正しく理解しているはずだ。
 
小泉純一郎内閣の時の「皇室典範に関する有識者会議」の報告書は、
骨格において私の提言を採用してくれたと考えている
(又は、それ以前から政府は独自に「正解」に辿り着いていた)。
あの報告書を越えるロジックは、今も政府として持ち合わせていないはずだ。
今回の有識者会議で、それを上回るロジックを提出できるか、どうか。
 
恐らく、(両論併記に逃げ込むことはあっても)
先の報告書を根本的に書き換える結果にはならないだろう。
これまでの各種世論調査の結果では、同報告書の方向性を支持する
国民が圧倒的に多い。
 
政府は既に「正解」を掴んでいて、多くの国民もそれを支持している。
だから普通に考えると、「正解」に基づく制度改正に二の足を踏む必要など、
どこにも無いはずだ。
 
にも拘らず、政府はこれまで「先延ばし」を続けて来た。
それは何故か。
明らかに、一部の頑強な抵抗への政治的配慮によるものだ。
よって残る懸念は、政治家が得意な「足して二で割る」やり方を、
皇位継承という尊厳かつ重大無比なテーマにも、平気で持ち込んでしまう
危険性があることだ。
それを許さない為には、世論調査の結果だけでなく、
皇室を敬愛するサイレント・マジョリティーが、はっきりと
“声”を挙げる必要がある。
 
まさにサイレント・マジョリティーから
ボーカル・マジョリティーへ。
それが求められている。
 
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