大須賀淳

「世界秩序の崩壊」についての分析記事

大須賀淳

2026年2月16日 10:51

米国の投資家、レイ・ダリオ氏が「It’s Official: The World Order Has Broken Down」(世界秩序が崩壊したことは公式な事実となった)という記事を発表。翻訳して読んでみた所、なかなか興味深い内容でした。

It’s Official: The World Order Has Broken Down

 

元記事は英語の長文ですが、要点をざっくりまとめると下記のような内容です(一部、他の記事も参照した上での意訳も含みます)。

●開催中の「ミュンヘン安全保障会議」において、ドイツのメルツ首相は「ルールに基づく世界秩序はもはや存在しない」と警告。フランスのマクロン大統領、米国のルビオ国務長官らが異口同音に「旧世界は去った」と述べる。

●ダリオ氏が提唱するビッグサイクルの定義(1.新しい秩序の始まり、2.繁栄と平和、3.過剰と負債、4.格差と対立、5.深刻な財政難、6.内乱と戦争)では、世界は既に第6段階の、ルールが存在せず力こそが正義(Might is right)の状態にある。

●強制力のある警察や裁判所が実質的に存在しない国際社会においては、最終的には「生身のパワーバランス(力の原理)」がすべてを決定する。

●国連のような組織も、米中などの主要国がその組織以上の富と力を持っている限り、秩序を維持することはできない。

●現在、国家間では以下の5つの領域で争いが進んでいる

経済・貿易戦: 関税や輸出制限など。

テクノロジー戦: どちらが技術を支配し、何を共有しないか。

地政学戦: 同盟や領土を巡る交渉。

資本戦: 制裁や金融市場へのアクセス制限。

軍事戦: 実際の武力衝突。

●賢く力を使い、破滅を避けるためには、相手の視点に立ち、何が譲れない線(レッドライン)かを明確に伝え、交渉することが重要。

●合意や法律よりも「力」が優先される現実を認め、力を蓄えつつも、それを闇雲に使うのではなく、寛大さと信頼に基づいたWin-Winの関係構築に使うべき。

●すべての帝国には盛衰があり、米国もそのサイクルの過渡期にある。生産性を維持し、国内の格差を是正し、ライバルとWin-Winの関係を築ければ、破滅的な結末は避けられる可能性がある。

 

元記事を細かく見ていくと、異論を挟みたい部分もあるのですが、全体としては世界の現状が冷静かつ的確にまとめられていると感じました。

 

冒頭に出てきたミュンヘン安全保障会議では、中国の王毅外相が「日本には台湾への侵略・植民地支配の野心がいまだ残り、軍国主義の亡霊が徘徊している」と演説し、日本側が反論するという事態にもなっていますが、暴走高市政権を選挙で大勝させてしまった国内状況をふまえると、このプロパガンダ演説をいくら非難してもいまいち説得力が出ないのが悔しい所。

 

もちろん、存立危機事態発言など高市首相個人の責任は絶大ですが、最悪のタイミングで(だからこそ?)ふわっと、なんとなーくで「委任」してしまった責任は、国民の側にあります。

 

現在の日本には、予想以上にカードが少ない(目減りする一方な)中、「ライバルとWin-Win」という線も様々な局面で難しくなっています。もしかすると、媚米主義者は属国となる事を「Win-Win」と思ってるんじゃないか?とさえ感じられ、それは「現実的」な振る舞いでも何でもなく、(すでに世界はその中にある)「戦争」へのリアリティが徹底して欠けた成れの果てに他なりません。

 

色々としんどい所ですが、まずはあらゆる現実に腰を据えてとりかかって行きましょう!