令和元年から任に就いていた西村泰彦氏の退任にあたり、黒田武一郎新長官と共に記者会見に臨みました。
「皇室は国民の心のより所」宮内庁・西村前長官が退任会見 被災地見舞いや戦没者慰霊など令和の6年間涙ぐみながら振り返る 黒田新長官も抱負語る(日テレ)
西村前長官は、天皇皇后両陛下の被災地ご訪問などを涙ぐみながら振り返ったとの事。「皇室は国民の心のより所」という事を、他の誰よりも間近で見続けてきた氏の言葉には、他の誰よりも深い感慨が溢れており、記事を読んでいるだけのこちらの胸にも込み上げるものがありました。
西村氏は皇統問題について「拙速な議論は避けるべきだが早く多くの国民が支持してくれる案を作っていただきたい」と述べています。つい先日も、女性・女系天皇容認が大多数を占める読売新聞の世論調査が話題になったばかりですから、もし男系絶対の価値観であれば「皇室の歴史と伝統を重んじた」といったような表現が入るでしょう。
こちらの羽毛田信吾元長官の記事でも「民意に沿って集約されるのが自然」と述べられているように、歴代の宮内庁長官(天皇陛下の最側近)は揃って国民の思いを重視すべきという趣旨の発言をしています。
これには間違いなく、上皇陛下から今上陛下まで一貫した「天皇陛下の思い」が反映されているはずです。
そして、新しく宮内庁長官に就任した黒田武一郎氏の会見に、見逃せない一言がありました。
「まず皇室の方々のお考えを伺いながら検討していく必要があると受け止めている」
上記は直接には「皇室の活動のあり方」にかかった言葉ですが、昨年のお誕生日に秋篠宮様が述べられた「皇族は生身の人間」というお言葉にも表れているように、陛下を始めとする皇室の皆様のお考えや思いが軽んじられて来たという状況が間違いなく存在するのでしょう(西村前長官も、秋篠宮様の言葉を受けて「十分お話をおうかがいする機会はなかったと反省しています」と述べています)。
その一番顕著な例が、内々にご意向を示されながらも、政治によるサボタージュで放置され、ビデオメッセージという「最終手段」に出る所まで追い込まれてしまった、上皇陛下の生前退位に関する一連の流れです。
生前退位の件で、政治(少なくとも当時の安倍政権)は、表に出ていなければ陛下や皇室のお考えを平気で無視するという事が明確になりました。
会見と同日、皇居では高市首相らを招いて慰労する昼食会が開かれました。高市首相は、陛下とお話して「男系男子絶対」の思いをいっそう固くしたのでしょうか?
それとも、全く違う事を感じながらも、それを無視するのでしょうか?
新長官のもと、陛下のお考えと、大多数の国民の思いを最大限に尊重した展開を大きく期待します!