高森明勅

断片的読後感

高森明勅

2011年 5月 30日

遅ればせながら『新日本人に訊け!』の読後感を断片的に。

寄贈頂いて直後に読了。

その後直ちに、飛ばし読みで再読した。

私がごくたまにやる読み方だが、最近暫くこんな読み方から遠ざかっていた。

それだけこの本が、私にとって面白かった証拠だ。

一番感動したのは、金美齢氏との対談。

小林さんでなければ引き出せない発言を引き出していて、実に貴重だ。

台湾独立派からも、中国従属派からも、決して聞くことが出来ない台湾の真実がここにある、と感じた。

この対談は結果として、日本に帰化した金氏の名誉回復にも、繋がるはずだ。

小林さんの本質的な゛良さ″も十分、発揮されている。様々な意味で必読の対談。

日本人が知っておくべき中国の「悪」を知る為には、金氏との対談にあわせて、中国に裏切られて日本人になった石平氏との対談が有益。

プラス、中国の侵略の証人ペマ・ギャルポ氏との対談も、勿論見逃せない。

鄭大均氏の在日論は文句なしにリアル。姜尚中批判の辛辣さは、そこらの保守知識人の比ではない。

ビル・トッテン氏のアメリカ批判には共感できる部分が多い一方、日本理解には悪しきアメリカ的偏向が顕著。

中国や北朝鮮にも甘過ぎ。

それを小林さんが見事にたしなめて、面白い読み物になった。

面白さのピカ一は呉善花氏との対談。

この人らしい、生活者の視点に立った日韓比較文化論は秀逸。

日本再発見への大切なヒントに満ちている。

今更ながら、未読の人には是非読んで欲しい近来の快著、と申しておこう。