高森明勅

小林よしのり氏『脱原発論』に期待する

高森明勅

2012年8月20日 10:04
小林よしのり氏の新作『脱原発論』が、近く刊行される。

これまでの「反」原発論の限界を、
確然と踏み越える内容であることを期待したい。

福島第1原発の事故後、我が国ではこれ迄にないほど、
原発への批判が高まった。

その批判は、1年以上を経過した今も、衰えていない。

だが、このまま経過すれば、その勢いは、
やがて失速してしまうに違いない。

何故か。

出口が見えないからだ。

いや、正確に言うと出口はある。

「どれだけ貧乏でも、不便でもいいじゃないか。
原発の危険さえ無くなれば」という出口が。

しかし、そんな出口を、すんなり受け入れる人が一体、
どれくらいいるだろうか。

「原発を無くせるなら、電気なんか要らない」
と言われて、
「そうだ、そうだ」と心から納得できる責任ある大人が、
どれだけいるか。

恐らく、極めて少数に違いない。

すると、どうなるか。

「原発は危険でも、何とかその危険をコントロールしながら、
一定の経済水準や利便性は確保して行くしかない」
というのが、社会の大勢になってしまう。

そのことは、火を見るよりも明らかだろう。
だから、
「電気は要らない」式のピューリタン的ないし教条主義的な
反原発論は、論者の主観的意図はともあれ、
結果的には、
原発「推進」論に加担するもの以外の何ものでもない。

そんな出口しかないなら、原発批判の影響力は、
ついに限定的なものにとどまるだろう。

だが、小林氏なら、全く違う出口を、
説得力をもって、示してくれるのではないか。

普通の生活者が、無理に肩肘張らなくても受け入れられる出口を、
しっかり見せてくれるのではないか。

それが示された時、
国民の多くが抱いている原発への漠然とした拒絶感は、
初めて現実的な脱原発への推進力に転化するはずだ。

小林氏の『脱原発論』は、
事態を大きく転換させる、
文字通り画期的な作品になる可能性を秘めている。

大きな期待を抱きつつ、同書の発刊を待ちたい。 
 





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入場料は、お一人900円です。

 

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