高森明勅

テレビ出演を巡る妻の「変貌」

高森明勅

2014年 10月 4日

妻の帰国前に滑り込みで一本、挙げておこう。

その「変貌」ぶりの一端を。
結婚間もない頃、
妻は私がたまにテレビに出演することを、
いたく嫌った。

あなたねぇ、リンゴの皮も満足に剥けない、
お皿一枚も綺麗に洗えない、忘れ物はしょっちゅうする。
自分の身の回りのことも1人でちゃんと出来ないで、
よく人様の前でえらそうなことが言えたもんね。
少しは恥ずかしいってことを知ったら」てな調子。

ところが、月日と共に様子が違って来た。

思っていることは前と変わらないんだろうが、

テレビ出演とかじゃんじゃん受けたら。
ギャラが入って来るんだから」などと言い出した。

わが妻も、いつの間にかイッパシの“オバサン”化していたようだ。

しかしこのところ、地上波のテレビ出演の依頼はとんと無し。

と思っていたら、さるキー局から情報番組の生出演の依頼。

私はテレビでもラジオでも原則、出演依頼は断らない。

妻の動機とは違って、単純に生活に変化ができて面白いからだ。

だから、バラエティーみたいな番組に出たこともある。

特に生出演は、勝手に編集されないから好きだ。

勿論、強い使命感から、出たくない番組に出演したことも。

今回の依頼では、高円宮家のご次女、
典子女王殿下の
ご結婚を取り上げるという。
(うんうん、
面白そうだ)と思っていると、

番組の中で結婚式の引き出物などについて解説して下さい」
という注文。(知るかー、そんなの)

勿論、結婚式には恐らく誰か私の知人が招待されているだろう。

また関係者に伺えば、分からないこともなかろう。

だが、そんなはしたない「取材」なんてする気がない。

それこそ、放送局や同じ系列の
新聞社の宮内庁記者クラブ所属の記者あたりが
説明すればよい話。

残念ながら丁重にお断りした。

また風の便りで、どこかメジャーな衛星放送で「女性宮家」

巡る企画があって、私に声がかかるかも―と聞いていた。

だが、いまだに何の音沙汰もない。

そっちなら、決して断らないんだが。