小林よしのり

憎悪のナショナリズムに与しない

小林よしのり

2014年 9月 14日


東京新聞の篠田博之氏のコラムで知ったが、植村隆元記者への

バッシングが就職予定先だった大学に殺到し、辞退を余儀なく

されたという。

現在講師を務めている大学にも、辞めさせろという電話が

押し寄せているという。

 

「売国奴」と認定したら、どこまでも追い詰めて破滅させたい

という憎悪は、やはりナショナリズムの醜悪な面である。

まさに戦中のナショナリズムと同じもので、売国奴を発見して

憎みたい、攻撃したいという感情が暴走しているのだろう。

 

もはや愛国心などというものではなく、「憎悪」そのものが

快感なのだ。

「攻撃」そのものが楽しいのだ。

 

そういう感覚が嫌韓・反中ブームを支えているのであり、

シナの紅衛兵と変わらない人間の醜悪部分である。

人を吊し上げる快感は、大学紛争時代に、団塊の世代が

味わったはずだろう。

 

そのような抗議には、本人も大学も毅然と無視するしかない。

だが、植村氏の娘の実名や顔写真まで「売国奴の娘」と

してネットに流す暴挙が行われているというから、これには
怒りを覚える。
犯罪ではないのか?
名誉棄損で訴える方がいい。

この娘の方には、わしは同情するのだが、残念ながら、

植村氏本人には同情が出来ない。

ただし、「憎悪のナショナリズム」に与する者は単なる
卑怯者であると、わしは断じておく!