高森明勅

『昭和天皇実録』の公開

高森明勅

2014年 9月 10日

先頃、天皇陛下に献じられた『昭和天皇実録』が、一般公開された。

11月末まで宮内庁書陵部で閲覧可能という。

だが期間中、書陵部に足を運ぶ機会があるか、どうか。

公刊は、来春から5年かけて行われる予定。

私が実録に期待している1つは、
昭和天皇が「内奏」や「上奏」
の際、
どのように対応しておられたか、その実情だ。

昭和天皇は立憲君主としての厳しいご制約の中で、
正式に決定を見た事項が“上奏”された場合は、必ずご裁可になった。

だが一方、「ご下問」があるなど、
場合によっては何らかの意志表示をなさる。

決定前の“内奏”なら尚更。

「いろいろと御注意を加えられては御拘束になり」
或いは「激励、勧奨、抑制」によって「方向を保たれた」という
「石井秋穂大佐回想録」)。

それが「大臣達に取っては誠に重圧でありうるさかった」
ようだ(同)。

その実態を知りたい。