高森明勅

ストリップ断想

高森明勅

2014年 7月 7日
ジャーナリストの笹幸恵さんがストリップショーに取材?

に行って、いたく感激されたという。

私自身は未だストリップショーを観たことがない。

但し、ストリップを巡っていくつか、おぼろげに思い出すことがある。

それを紹介しよう。

どれも30年以上も前の話だ。

従って、中学生や高校生でもネット上で
簡単に過激なエロ動画を覗くことが
出来てしまう現代とは、
全く違う「エロ環境」
だったことを念頭に置いておいて頂きたい。

その一。

確か高校生の頃の出来事だったはず。

すると40年程も昔のことになる。

1人の純情可憐な男子が壮烈な失恋をした。
念の為に言っておくと、私ではない(!)。

当然、ドカーンと落ち込んだ。

端で見ていても、ひょっとしてこのまま自殺するのか、
と気を揉む落ち込み方。

友人らが言葉を尽くして慰め、励ましても、全く効果なし。

むしろ、言葉を掛ければ掛ける程、陰々滅々と沈んでいく。

そこに、友達でもない、やや早熟で豪傑タイプの奴が、
明るく登場。

「俺が良い所へ連れて行ってやる」と、
そいつをストリップ劇場に連れ込んだ。

勿論、未成年の高校生は普通なら入れない。

しかし、どうした事情か知らないが、
2人とも首尾よく入れたようだ。

老け顔の豪傑君は常連だったかも?

しかも芸が細かいのは、初めてストリップ劇場に行く失恋男には、
度胸をつけさせる為に、
しこたま酒を飲ませたらしい。

勿論、酒も未成年にはご法度。

しかし、まごまごしていたら、そいつは自殺するかも知れない。

人1人の命が懸かっているのだから、
多少のことは大目に見なければ。

で、どうなったか? 

何と、昨日まで自殺寸前みたいな暗い顔をしていた奴が、
何か憑き物が落ちたようにスッキリした表情に。

その頃のストリップは、お客を舞台に上げて、
本番までやらせることもあったらしいが、もとより
彼が舞台に上がったとは考えられない。

それでも、ストリップ「鑑賞」を通じて、
彼なりに何か「悟る」
ものがあったに違いない。

我々一同、まだ見ぬストリップの目覚ましい効能に舌を巻いた。

彼をストリップ劇場に連れ込んだ豪傑君については、
絶讚する奴と、非難する奴に綺麗に分かれた。

私は無論、最大最高の讚辞を呈した。

ちなみに、女子には一切、秘密裏にことが運ばれたのは、
言うまでもない。

次のエピソードは改めて。

(続く)