小林よしのり

安倍談話のわしの評価

小林よしのり

政治・経済
2015年 8月 15日


「朝まで生テレビ」、体調不安で出演したが、最初の40分間は

退屈だったものの、その後はどういうわけだか楽しんでしまった。

終わったら急いで帰ったが、やっぱりなかなか眠れない。

9時くらいからようやく3時間眠ったので、今夜の睡眠で平常時に

戻す予定だ。

 

安倍談話は日露戦争までを肯定する司馬史観で、満州事変を否定

するが、わしの歴史観とは違う。

当時の国際秩序への「挑戦」という言葉を使っているが、当時の

国際秩序は西欧列強の植民地「既得権益」の維持の秩序であり、

こんなものへの「挑戦」は当然である。

 

日本の失敗は支那事変からだ。

パール判決にあるように国際法上は合法なのだが、万里の長城を

越えてからのビジョンが何もない。

だが、大東亜戦争にはアジア解放の側面もあるのである。

 

安倍談話は村山談話を否定する予定だった安倍首相が、戦勝国の

監視に委縮してしまい、なおかつ安保法制を通すために妥協した

村山談話の冗長版である。

国内の左派と戦勝国向けに、「侵略」「謝罪」などの村山談話の

キーワードのすべてを入れ、かつ右派向けに主語を省いただけの

子供だましである。

これなら村山談話で良かったのだ。

 

ただ、一点評価するところは、謝罪を我々の子や孫にまでさせる

のは不健全であり、断ち切るべきというメッセージだ。

わしも安倍首相も、戦争は知らない世代で、占領期すら知らない。

それでも謝罪させられるのは、異常である。

こんな異常を引き受けるのは、わしらまでで終わりにすべきだ。

若者は歴史の生と負の両面を未来に伝えていけばいい。

近隣諸国と、恩讐を超えて、和解への道を探るべしだ。