高森明勅

抑止力とは?

高森明勅

2015年 6月 7日

安倍政権が国会に提出した安保法制関連法案。

一体、何のため?

政府は抑止力を高めるため、と説明している。

だが中身はどうか。

あっさり言えば、リスクを高めてでも、
アメリカをはじめ他国への軍事的貢献を新規に始めたり、
拡大するーというもの。

それが何故、抑止力を高めることになるのか?

ここまで日本が献身的に尽くせば、アメリカがすげなくすることは、
よもやあるまいという、「
義理と人情」論。

そんな“甘え”が国際社会で通用すると思っているのか。

これぞ“お花畑”。

抑止力を高めたければ、核武装の検討も含め、
とにかく自前の防衛力を制度や装備など、あらゆる面で強化する。

そこから始めるのが当然の順序。

抑止力というのは、予想される敵国を打倒し尽くすのに
十分な武力を備えなければなら
ないということでは、必ずしもない。

相手国が安易に手を出すと、深刻なダメージを被るだけの用意が、
予めあればそれで良い。

個人の喧嘩でも、あいつと喧嘩をすると最後には勝てるだろうが、
腕の1本や目玉の1つ位は失うかも知れないと思わせると、
簡単に手を出せないものだ。

そのために憲法改正が必要なら、憲法を改正する。

アメリカをはじめ関係諸国に説明が必要なら、
スタンディングオベーションを受けるのは難しくても、
丁寧に毅然と説明する。

勿論、それら一切の大前提として、国民に理解と覚悟を求める。

そうした手順を“粛々と”進めればよい話。

そもそも、国民に理解と覚悟を求める真面目な努力をせず、
言葉の誤魔化しで抑止力を高めるなんて土台、無理。

骨絡みのアメリカ依存も極まれりと言う他ない。