小林よしのり

黒木華という女優の凄さについて

小林よしのり

2015年5月11日 03:56


「天皇の料理番」の黒木華がすごすぎる!

可愛すぎる!感動する!泣いてしまう!

ああいう役は普通なら、男に従順な女というフェミニズム

からの批判を受けそうな役柄なのだが、黒木華はそんな

短絡的、紋切り型の批判を受け付けない女の主体性を、

どうしても感じさせる光を放っている。

その主体性があるから美しいし、可愛いし、愛おしい。

あの愛おしさは本当に危ない!惚れてしまう。

あんな女は理想だと感動する。

 

時代はまだまだ明治だし、大家族制度と男尊女卑の因習が

強く残る背景があったはずだが、男に惚れた女の強さが

見事に発揮される脚本の上手さも見事だと褒めたい。

 

だがわしは思うのだが、あの初々しい妻の役を柴咲コウ

(好きな女優だが)のような目の大きな洋風の顔で演じたら、

嘘っぽくなったかもしれない。

黒木華が目が小さいのがまたあの役柄に合っている。

表面的には自己主張の強さが全然見えないのに、惚れた男の

夢を信じられるなら、エゴを封印できる女の一途さ・強さが

見事に表現されていて、美しい。

 

夢だけ追いかける夫からの出世の手紙を読みながら喜びが

込み上げ、最後の言葉に「ジュテームって何?」と反応する

黒木華のいじらしい演技に、もう涙が込み上げて嗚咽しそうな

ほど感動してしまった。

 

目の小さな女優と言えば、田中裕子だが、こっちも朝ドラの

「まれ」で見事な演技を披露している。

だが、田中裕子と言えばやはり「天城越え」で、黒木華とは

違う女の「恐さ」が原型にあると思う。

現在の胆が据わり切ったあの演技は、黒木華とはまた違う凄み

なのだ。

 

黒木華と田中裕子を比較して観察する楽しみもあるので、

黒木華が今後どんな女優になっていくか、注目していこう。