小林よしのり

憲法は倫理の経典ではない

小林よしのり

2015年 5月 2日


朝日新聞で島田雅彦が護憲派としての理屈を述べている。

従米ナショナリスト批判はわかるし、彼らの改憲論が危険で

あることも同意する。

 

だが現行憲法を聖書に例えて、「憲法も日本人の倫理の経典で

あり続けた」という意見には全然うなずけない。

憲法に価値観を求めること自体が立憲主義の精神から外れて

いるし、護憲派も改憲派も憲法に幻想を抱いていることが

間違いなのだ。

 

確かにベトナム戦争にも、湾岸戦争にも、現行憲法が

歯止めをかけたのだが、今やそれもできなくなった。

もはや日米ガイドラインが憲法より上位の法になっているのだ。

国権の最高機関は国会だから、現行憲法に照らすと、

すでに違憲状態であり、憲法停止状態になっている。

 

だが、国民は「憲法(国民の命令書)」に背く権力に対して、

本気で怒ってはいない。

「お上にお任せ」の精神で、他に頼るお上がいないから、

安倍政権を支持するという愚民が大多数である。

 

現在の日本人は、明治の自由民権運動の頃より、劣化している

のではないかと、わしは見ている。