高森明勅

安倍首相「国会ヤジ」の問題点

高森明勅

2015年 2月 21日
安倍首相が国会で、民主党議員の質問に繰り返しヤジを浴びせた。

これまで、首相本人によるこうしたヤジの前例はどうなのか? 

随分みっともない振る舞いだ。

まず心理的背景としては、西川農水相の献金疑惑への追及が、
安倍氏にはストレスだったのだろう。

だから平然と聞き流せなかった。

そうした心理的な弱みを公の場で晒すのは、
政治家としても人間としても、未熟さの表れ。

また、「自民一強」「安倍一強」と言われる政治状況で、
慢心があり、
民主党のくせに、という侮りもある。

更に、この種のヤジに溜飲を下げるタイプの、
タチの良くない支持者も頭をよぎったのだろう。

で、委員長にたしなめられる失態を犯した。

その問題点は、民主党など特定政党や特定議員への侮辱ではなく、
首相を指名する「国民の代表機関」である国会そのものの権威を、
首相自身がことさら棄損したこと。

これは、首相が自らの地位と権限の根拠をないがしろにする行為で、
他でもない国民を愚弄したことになる。

それに加えて、首相が軽率にこうした品位を欠く行為に及べば、
任命者である天皇陛下の尊厳をも傷つけてしまう。

一事が万事と言う。安倍首相の驕り以外の何物でもなかろう。