高森明勅

アメリカ依存心理の根深さ

高森明勅

2015年 2月 14日
ゴー宣道場に参加戴くのは、日常に埋没するのを潔しとせず、
左右の紋切り型のボジショントークにも満足せず、
自分の頭で「考える」姿勢を手放さない人たちーのはず。

だが、そんな道場参加者(我々は道場生と呼んでいる)の中にも、
アメリカ依存心理を脱却出来ない人が、やはりいる。

かなり知的と思える人物が、アンケートに
日本独自の自主防衛は、たとえ望ましくても、経済的負担が大きく、
安全保障上かえって不利だから、適宜適切に世界最強のアメリカの
軍事力を利用するのが賢明」という趣旨の文章を書いていたりする。

こうした言い分は、あちこちでもよく見かける。

だが最も初歩的な話をすれば、安全保障上の多くの「経済的負担」を、
そうやってアメリカに肩代わりして貰いながら、
同国と対等な関係を結べる道理があるまい。

事実上の「属国」で結構と開き直っても、アメリカの属国であれば
安全という時代は、とっくに過ぎた。

むしろ「対テロ戦争」をはじめ、様々なアメリカの国益と
“正義”の為の戦争に、属国故に(集団的自衛権行使の名目で)
無理やりでも駆り出されることになろう。

世界中どの国も、経済的負担を自ら引き受けて自前の軍隊を持ち、
自主防衛を目指すのが通例。

他国との軍事的提携は、あくまでその足らざる部分を補う
以上ではない。

これに対し、自衛隊の現状は「戦力」未満の実力(?)組織。

軍隊ですらない。

いわゆるグレーゾーン事態も、“普通の”平時の交戦規定を備えた
「軍隊」なら、そもそもあり得ない。

集団的自衛権以前の個別的自衛権すら満足に行使出来ないのが、
誰も見たくない”自衛隊の実情。

その軍事的役割は、アメリカ軍の足らざる部分を補完するにとどまる。

こんな状態を維持するのが「賢明」と感じているとしたら、
自覚なきアメリカ依存心理はかなり深刻だ。