小林よしのり

皇位の男系男子継承は女性差別である

小林よしのり

政治・経済
2016年 3月 15日


安倍首相が国連女子差別撤廃委員会の「皇室典範勧告案」に

不快感を示したらしい。

皇位継承権を男系男子に限定するのは、女性差別だという

委員会の勧告に対し、「女性差別ではない」と主張したのだが、

無知ゆえの弁解である。

 

男系男子限定は女性差別に決まっている。

日本の伝統でも何でもない。

 

明治の皇室典範制定時に、井上毅が「男を尊び、女を卑しむの慣習、

人民の脳髄を支配する我国において、女帝を立て皇婿を置くの不可

なるは、多弁を費やすを要せざるべし」と主張して、女系論を潰した

のだから、女性差別に決まっている。

 

そもそも反発すべきは「慰安婦を教科書に乗せるべし」という勧告

の方なのに、安倍政権はこれを黙認している。

安倍首相は、慰安婦問題で河野談話より後退した日韓合意をして、

コアな安倍信者が分裂したため、今度は男系男子固執を改めて強調

することによって、コアな信者を取り戻そうとしている。

つまり、慰安婦問題の敗北を、男系男子固執で、糊塗しようとして

いるのだ。

 

しかも今後、世界に「男系継承は女性差別ではない、日本の伝統だ」

と説得して回るという。

そんなことをしたら実は女系継承を認めるしか、皇室の弥栄はない

と判明した時に、大変なことになる。

日本は伝統を壊したと誤解されてしまう。

慰安婦問題の敗北が、皇位継承問題に波及するとは!

 

わしは国連の委員会の「男系男子継承は女性差別」という勧告は

正しいと思う。

だがそれでも、「外圧」に頼って、皇位継承を変えるのには反対だ。

あくまでも国民の良識で、皇室典範に潜む男尊女卑観念を打破して、

皇室の永久繁栄を実現しなければならない。