小林よしのり

夫婦同姓=家族の保護、にはならない

小林よしのり

政治・経済
2015年 12月 22日


最高裁が「夫婦同姓」は合憲とした。

わしは別にこの憲法判断に意義はない。

結婚前の「氏」が便利なら通称を用いればいいだけだ。

 

「夫婦別姓」が男女同権の象徴であって、少数派擁護の象徴

であって、リベラルの象徴であると思っているのなら、

錯覚だ。

 

一方、自称保守派が「夫婦同姓」を「伝統」と言うのも錯覚

だし、「夫婦同姓」が家族の絆を守ると主張するのは、

もっと大きな錯覚だ。

 

今日の産経新聞「正論」欄に、百地章がこの「夫婦同姓」の

合憲判決について、実に奇妙なことを書いている。

「家族を国が積極的に保護」するのは国際社会の常識だと

書いているのだが、さらに

今こそ憲法に『家族の保護』を明記し、国や社会の手で

積極的に家族を保護していく必要があるのではなかろうか

と締めくくっているのだ。

 

憲法に「家族の保護」を明記するのなら、わしは賛成だ。

それは国民による権力への命令になるから、立憲主義に

適っている。

だが、自民党の第二次憲法草案では、「家族は互いに助け

合わなければならない」として、権力による国民への命令に

なっている。

これは立憲主義に適っていないのだ。

 

やはり百地章及び自称保守派、あるいは安倍政権は、

立憲主義の意味が分かってないのではないか?