小林よしのり

EU離脱を全マスコミが批判している愚

小林よしのり

政治・経済
2016年6月25日 03:44


予感してはいたが、朝日新聞から、産経新聞から、東京新聞まで、

全マスコミが、イギリスのEU離脱に驚き、失望し、危惧を覚え、

批判している。

 

ナショナリズムの台頭はいけないことだと主張している。

「一国平和主義」とか「孤立主義」とか「排外主義」とか

「トランプと一緒」とか「ルペンと一緒」とか言っている。

 

ものすごい紋切り型の思考で、今回イギリスで行われた

究極の民主主義「国民投票」で、100万票もの差をつけて

勝利した「離脱派」を批判している。

 

普段は民主主義を絶対の価値としているくせに、都合の悪い

結果が出ると「ポピュリズム」と言い出す。

EUという理念そのものが、知識人の空想平和主義の産物で、

設計主義的なイデオロギーだった可能性を考えようともしない。

 

EUが崩壊に向かうなら、TPPだって大いに危ういのだが、

朝日新聞から産経新聞まで賛成だから、不安になるのだろう。

 

だが、「自由貿易」による「カネ儲け」にしか興味のない連中は、

国柄を重視する国民主義としての「ナショナリズム」を否定して、

カネ儲けのための「グローバリズム」を推進したがる。

 

朝日新聞ら左翼は、市場絶対主義がジョンレノンの「イマジン」

のような、国境のない単一世界を実現し、「人類みな兄弟」と

なって、戦争を防止できると考えている。

一方、産経新聞も市場絶対主義で単一色の世界になった方が、

カネ儲けに都合がいいと考える。

 

ようするに「経済第一」「国柄第二」なのは、朝日も産経も同じ。

これが、わしが「全マスコミが左翼」と認定する根拠である。

だれも「国柄を守るナショナリズム」を肯定していないのだ。

 

彼らはナショナリズムに「右翼」というレッテルを貼って、

トランプやルペンと共に「右翼括り」で一蹴しようとする。

だがこの先、トランプが大統領になったら、彼らはアメリカを

「右翼国家」と非難し、ルペンの政権が成立したらフランスを

「右翼国家」と詰るのだろうか?

 

ナショナリズムに「右翼」のレッテル貼りをする短絡性を、

考え直した方がいい時期ではないか。

「右翼」とは、フランス革命後の国民議会で、王位を守る側の

席が議長から見て右側だったというだけの語源に過ぎない。

もう少し、教養を前提にした議論をしてみたらどうだ?