高森明勅

民主主義は戦争が大好き

高森明勅

2016年 6月 2日

小林よしのり氏の新刊『民主主義という病い』の帯に
民主主義は、戦争と独裁者がお好き」とある。

まさに然り。

民主主義がいかに「独裁者」が好きか。

ワイマール憲法下でのヒトラーの登場は、その典型例だろう。

だからこそ、三権の分立や立憲主義など“民主主義の暴走”
への
ブレーキが大切なのだ。

一方、戦争はどうか。

何だか、戦争と民主主義が対立概念ででもあるかのような、
幼稚極まる誤解が圧倒的に流布している。

だが勿論、そうではない。

そのことは、“誰も欲しなかった戦争”と言われた、
第1次大戦の開戦の事情を見ても明らかだ。

これについては、以下のような指摘がある。

どの国でも君主がもっとも戦争に消極的で下へ行けば行くほど
好戦
的傾向が増大し、命令のないうちから自主的に戦争準備に入り、
大衆が熱狂的にそれを支持し、君主たちはもはやそれを押しとどめる力
がなかった」(
入江隆則氏『敗者の条件』)と。

と言うより、戦争に明け暮れるアメリカのこれ迄の軌跡を辿るだけで、
一目瞭然か。