高森明勅

立憲主義なら憲法改正

高森明勅

2016年 5月 3日

近来、立憲主義の大切さを強調する意見を、よく見かける。

それが本心からなら、実に結構。

立憲主義の前提は、“憲法の権威”を守ること。

その為には、憲法自体に憲法の権威を損なう部分があれば、
立憲主義の立場から憲法を改正する必要がある。

日本国憲法の場合はどうか。

第9条は、憲法が機能する為に欠かせない国家それ自体の存立を
損なうか、
又は他国(具体的にはアメリカ)の軍事力に依存する
(
それによって主権をその国に譲り渡す)以外の選択肢を国家に
与えないという、重大な欠陥を抱える。

つまり第9条が維持される限り、憲法より“上位”に「
日米地位協定」
「日米防衛協力のための指針」といった、
条約ですらないもの
(条約なら国会の承認が必要)
が居座り続けることになる。

明らかに立憲主義に反する。

よって、真に立憲主義を貫こうとすれば、憲法改正は不可避だ。