小林よしのり

高森氏の新書、正確にして見事な体系なり

小林よしのり

芸能・文化
2016年 11月 10日


昨日、高森氏の幻冬舎新書『天皇「生前退位」の真実』の

ゲラを送ってもらい、ざっと読んだ。

高森氏の考えは、ほぼ分かっているが、わしの『天皇論』と

大きな齟齬があってはいけないと思い、点検させてもらったのだ。

それは一つもなかったので自分の仕事を進行した。

 

発売されたらもう一度、熟読するつもりだが、高森氏の新書の

体系的な論考まで到達できる学者はいないだろう。

安倍政権の有識者会議に招かれる識者たちの細切れの言い分は、

矛盾だらけで、もし一冊の本にすると、単なるネトウヨの戯言集

にしかならない。

学問的な価値はゼロになるから誰か出してみればいい。

突っ込む箇所が膨大になり過ぎて話にならんだろう。

わしが有識者会議に招かれた識者のコメントをざっと読んだだけ

でも、途方に暮れるくらい無茶苦茶である。

 

さて、わしの『天皇論 平成29』は、学術的正確さを踏み外さ

ないことには留意しつつ、『戦争論』のような情感を揺さぶる

作品に仕上げている。

 

『天皇論』は更新されねばならない。

今上陛下が譲位する頃には、もう一冊描く必要が出てくるだろう