高森明勅

天皇は「ロボット」ではない

高森明勅

2016年 10月 21日

戦後の憲法学は天皇を「ロボット的存在」(宮澤俊義氏)
と見なそうとして来た。

だが天皇陛下は、皇太子時代にこうおっしゃっている。

「立場上、ある意味ではロボットになることも必要だが、
それだけであってはいけない。その調和がむずかしい」
昭和44年8月12日)と。

陛下は、その調和点を歴史の中に、
つまり“天皇の伝統的在り方”において発見されたのではないか。

その発見の上に立ち、“全身全霊をもって”
見事な「能動的」
天皇像を築き上げて来られた。

陛下を「ロボット的存在」と思う国民など、
今やどこにもいないだろう。

ところがあろうことか、
それを戦後憲法学的な天皇像に
押し戻そうとする動きが、
官民の間に見られる
(宮内庁の次長人事や保守論客らの暴言、
更に有識者会議の論点を
想起せよ!)。

警戒が必要だ。