高森明勅

昭和天皇は皇室典範改正の発議権をご希望

高森明勅

2017年 4月 5日

現在の皇室典範は憲法と同じく占領下に制定された。

その際、昭和天皇から
「皇室典範改正の発議権を留保できないか」
とご下問があった(『芦田均日記』)。

国民生活には関係せず、
専ら皇室だけを律する典範について、
皇室が一切関与出来ないのは余りにも理不尽、
とお考えだったのだろう。

その理不尽さは、この度の天皇陛下のご譲位を巡る動きの中で、
改めて鮮明に浮かび上がった。

多くの国民も疑問を抱いたはずだ。

自ら潔く位を退かれることすら、
ご自身で決することが出来ない不自由さに。

但し陛下の「おことば」に対しては、
戦後憲法学の正統を受け継ぐ護憲派の学者らでさえ憲法上、
許容範囲とした。

ところが保守系の“改憲論”者らが、
逆に憲法(の天皇への過剰な抑圧的解釈)を
金科玉条として、非難した。

彼らは己れの言説が、GHQの皇室抑圧策を固守し、
(これまで“
尊崇の念”を表明してきたはずの)
昭和天皇の切なるご念願を足蹴にするに等しい、
と分かっているのか。