高森明勅

上皇后?

高森明勅

2017年 4月 1日

天皇陛下がご譲位された後の皇后陛下の称号は
「上皇后(
じょうこうごう)」という案があるという。

皇室典範には、「皇太后(こうたいごう)」という
古代以来の伝統ある称号が既に存在する。

それとの整合性はどうすのか。

皇太后は「崩御(ほうぎょ)された天皇の皇后」という
“イメージ”があるから避ける、とか。

イメージで議論されても困る。

前近代の例を振り返れば、別に崩御された場合に限らない。

皇太后は元々、天皇の母で后位に登った方の称号で
(『令義解』)、
崩御とは関係ない。

報道では、上皇の皇后だから上皇后、などと説明していた。

しかし、正式には太上天皇。

略称に対応した称号を考案してどうする。

もし上皇が先に崩御されたらどうするつもりか。

その時になって皇太后に称号を変更するのか。

ご譲位を巡る政府の迷走はとどまる気配がない。