小林よしのり

今朝の東京新聞の「ロボット天皇論」について

小林よしのり

皇室・皇統問題
2018年 2月 12日


今朝の東京新聞が2019年の5月1日に譲位を
国事行為で行うことに異議を唱えている。

自称保守派が「剣璽等承継の議」を行うことを
想定しているという。
「皇位は神器とともにあり、皇位の空白を招くのはよくない」
と考えるのは、立憲君主制だから当然だとは思う。

東京新聞の吉原記者は、天皇から皇太子へ剣璽を
直接手渡せば、「自らの意思で皇位を譲る」と解釈され、
憲法に抵触すると言う。
典型的な「ロボット天皇論」である。

わしの『新・堕落論』の
「オーディエンスかロボット天皇か」を読んで欲しい。
本来、譲位に当たって、総理が「オーディエンス=謁見」で
天皇陛下の意思を確認し、国民の象徴である天皇と、
国民の代表である総理の間で、合意を交わして、
譲位を行えば良かったはずなのだ。

そのためにはまず、「ロボット天皇論」の病を
克服する必要がある。

今のように自称保守派が「ロボット天皇論」を妄信し、
天皇陛下の意思を無視して、むしろ叛逆している状態が
立憲君主制の異常事態なのだ。

自称保守派の、天皇陛下を「ロボット天皇」として
無視しているくせに、「天皇制度」だけは復古的に
守ろうとする倒錯した観念が、「堕落」なのだ。

まさに戦前の「君側の奸」である軍部と、今の自称保守が
同じ感覚で、制度のみを政治利用しようとするペテンである。

一方で、東京新聞ら左翼も、自称保守派と同様の芦部学説
「ロボット天皇論」を奉じている状態だから、嗤うしかない。

「天皇は国民という大海に浮かぶ船」という国体の肝を、
自称保守も左翼も分かっていないのが、戦前から戦後に
通じる「堕落」という他ない。

天皇制ひとつとっても、戦前も堕落していたし、
戦後も堕落している。
明治時代に「復古」と言っても、明治から堕落していたと
いうのが、わしの『新・堕落論』の説なのだが、
読みとれる者がいないのでは仕方がない。

『新・堕落論』