高森明勅

主権を有する国民の政治的批判

高森明勅

2018年 2月 4日

いよいよ「憲法改正」を追求するゴー宣道場の開幕。

今回のテーマは「憲法9条の命運」で、
ゲストは憲法学者で
慶應義塾大学法学部教授の駒村圭吾氏と立憲民
主党の衆院議員、
山尾志桜里氏。

駒村教授は、学者らしい冷静綿密な議論とユーモアを取り混ぜた、
充実した基調発言。

取り分け、「砂川事件判決」
昭和34年12月16日、最高裁大法廷判決)
の読み取りは、
素晴らしかった。

単に、安保法制当時の政府・与党の判決理解の不当性に対する
鋭利な批判のみならず、
憲法問題への“主権者”たる国民の責任を
容赦なく暴き出す内容だった。

本件安全保障条約は…一見極めて明白に違憲無効であると
認められない限りは、
裁判所の司法審査権の範囲外のものであって、
それは第一次的には、右条約の締結権を有する内閣およびこれに対して
承認権を有する国
会の判断に従うべく、終局的には、主権を有する国民
の政治的批判に委ねられるべきものであると解す
るのを相当とする」

いわゆる統治行為論として知られる、この一節に対する解説は、
まさに“目から鱗”。

であるばかりでなく、感動的ですらあった。

もう1人のゲスト、山尾議員の発言は、いつもながら歯切れがよく
快。

しかも、立憲的改憲の未来に力強い希望を感じさせてくれた。

よくぞこのような政治家が今、
国会に議席を持っていてくれた
ものだと感じさせる。

勿論、たった1人の政治家に全てを委ねるような無責任は、
許されない。

今こそ、「主権を有する国民の政治的批判」が求められている。

自衛隊を「戦力」未満の非軍隊に押しとどめ、
個別的自衛権すら
十全に行使できない理不尽な“縛り”を維持し、
対米依存=従属を
固定化する安倍加憲か、
それとも個別的自衛権を拡充して規律する
立憲的改憲か。

これからが正念場だ。