笹幸恵

多用途運用護衛艦だってさ。

笹幸恵

日々の出来事
2018年 12月 7日
護衛艦「いずも」と「かが」は、
改修して戦闘機が着艦できるようにするという。
そうなるとどう見ても航空母艦(空母)なのだけど、
防衛大綱に関する与党のワーキングチーム(WT)は
名称を「多用途運用護衛艦」に決めた。

もともと「自衛のための必要最小限度の範囲」を超えるから、
攻撃型空母は保有できないという見解を政府は示してきた。
じゃあ防御型空母でどうだ、といったら、
WTの中で「空母はダメ!」

じゃあ「多用途運用母艦」はどうだ、といったら、
「母艦は空母を連想させるからダメ!」

ってことで、「多用途運用護衛艦」になった。

バカじゃないのか。

そもそも空母がダメっていうのがおかしい。
軍事アレルギーもたいがいにせいよ。
「母艦」も空母を連想させる……意味不明。

用途が空母なら、それは空母だ。
名称だけ変えて誤魔化して、なあなあで運用するの?
多用途に?
そっちのほうがよほど危険じゃないですか?

自衛隊明記だけして、自衛隊を軍隊として位置付けず、
結果、コントロールもできないようにしてしまう
自民党改憲案と同じだね。
「多用途に運用」する先に、戦争があるかもしれないのに。

そして護憲派もきっとなあなあで、
このいかさまフレーズに乗っかるんだろう。
「これは空母じゃない!」
「護衛艦なんだ!」
「多用途で運用できる護衛艦なんだ!」
って思っていれば、本質を見ずにいられるもんね。


空母が必要なら、ちゃんと国民に説明して、
「これは空母です」と言えばいい。
それが政治家の役割だ。
もっとも、それにはまず自衛隊を「実力組織」ではなく
「軍隊」と認めなければならない。
それができないから、空母も「空母じゃない」って
詭弁を弄さなくてはならない。

自衛隊のいかさまフレーズも、いい加減うんざり。
一体いつになったら、我が国は軍事と真正面から
向き合うことができるのだろう。