小林よしのり

ストックを増やして新たな挑戦を

小林よしのり

日々の出来事
2019年 3月 24日

今日は『ゴーマニズム宣言』第43章のコンテに入りたいが、
もう一押しの論理をシナリオに書き込まねばならない。

スタッフ諸君に言っておくが、「SPA!」の『ゴー宣』を
これからどんどん先まで描きためておきたい。
時流に影響しないネタで、ストックを4本、5本、貯めて
おいて、急遽描かねばならないネタが出てきたら、それを
大急ぎで描いて発表する。
とにかくストックを増やしたい。
そしてどこかで別の作品の描き下ろしを進めたいのだ。

スタッフはどうしても締め切りのために描く、締め切り
さえ守れば暮らしていけるというサラリーマン主義に
陥りやすい。
イチローが「クビになるんじゃないか」という危機感は
常に持っていたと言っていたが、あの感覚はわしにも
よく分かる。
結果が全て、完全実力主義のプロフェッショナルの世界
では、努力と挑戦しかない。
緊張感を絶やすことができない。

ましてや街の書店がどんどん消滅していく今の出版不況
の中では、努力すら報われないのが普通だから、新たな
挑戦は絶対に続けねばならない。
今の連載がノルマになったらおしまいなのだ。

この挑戦への意欲がなくなった時が本当の老化なのだろう。
漫画なんて子供の遊びの延長線に過ぎないのだから、
こんなもので食ってること自体が奇跡だ。
スタッフは漫画が食い扶持という異常な人生を、普通だと
思っちゃいけない。

常に新たな挑戦を試みてこそ、今が維持できると知って、
ストックを作る努力をせよ。
仕事場にコンテが溜まっているということは、スタッフが
サラリーマン主義に陥っていることの証拠だ。