高森明勅

軽量級の有識者会議?

高森明勅

皇室・皇統問題
2021年 3月 21日

皇位の安定継承を目指してどのような制度改正を図るべきか。
現下の日本で、これほど重大かつ緊急の対応を求められている課題は、
他にあるまい。

にも拘(かか)らず、今回の有識者会議のメンバーの顔ぶれを拝見すると、
課題の重さに対して、失礼ながら、いささか“軽量級”という印象を免れない。
テーマの切実さ故に、逆にメンバーに加わるのを尻込みした人も、
決して少なくなかっただろうと想像できる。
その意味で、敢然とメンバーにお名前を連ねられた皆さんには、
敬意を表すべきかも知れない。

但し、これらの方々が、専門家からのヒアリングを経て、
どのような報告書をまとめられたにせよ、それによって従来の考え方の違いが、
にわかに一本化するとは期待しにくい。
今から報告書の内容を予想するのは、早すぎるし、失礼にもなろう。
だが、敢えて率直に今の時点での見通しを述べるなら、
両論併記でお茶を濁す可能性が高いのではないか。

その場合、政府としては現実的な選択肢からとっくに除外しているはずの
旧宮家案も、恐らく報告書に書き込まれると思われる。
たとえ無理筋であっても、それを入れることで、これまでの
「男系男子」限定をきちんと見直して、女性・女系皇族が即位される
可能性を認める“正解”に対する、アンチテーゼに仕立てることが出来る。

そのようなアンチテーゼがあってこそ、得意の「足して二で割る」
流儀を発揮できるからだ。
それ以上のことは求められていないような気がする。
今回の有識者会議が、課題の大きさ・重さに比べて、
小ぶりで軽めに見えるのは、そのような事情も関わっているだろう。
勿論(もちろん)、私のこうした無責任な予想が外れることが
望ましいのだが…。

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