高森明勅

上皇陛下が記録の確かな歴代天皇の中で最長寿となられた

高森明勅

皇室・皇統問題
2021年 9月 6日

上皇陛下におかれては、去る9月3日、記録の確かな歴代天皇
(およそ推古天皇〔第33代〕以降)の中で最長寿となられた
(3万2千32日)。

心からお祝いを申し上げる。

これまで最長寿だったのは昭和天皇(第124代)。
昭和天皇は、昭和60年7月13日にご誕生より3万757日を迎えられ、
それまで最長寿だった江戸時代の後水尾天皇(第108代)より
長寿となられている。

その前日には次のような報道があった。

「歴代天皇の中で最長寿となられた天皇陛下(昭和天皇)は
『いつの間にか、こうなった。大したことではない』と淡々とされている。
…今年(昭和60年)4月、誕生日を前にした宮内記者会との会見では
『数字的な年齢で昔のひとと比べるのは難しい。
今は医学が発達しているが、後水尾天皇は環境が
お悪かったにもかかわらずご長寿となった。
私どもは感激もし、学ばなければならないと思います』

…『後水尾天皇は素質に加え、多方面にわたって学問、和歌、書など
幅広い趣味を持たれ、気力がすぐれていらした。…』」
(朝日新聞、昭和60年7月12日付)

後水尾天皇については、拙著『日本の10大天皇』(幻冬舎新書)で、
昭和天皇と共に取り上げている。

『昭和天皇実録』の記事も引用しておく。
「この日(昭和60年7月12日)、御誕生よりの日数が3万756日となり、
第108代後水尾天皇と並ばれる。
ただし天皇(昭和天皇)の御意向もあり、祝賀等の御長寿を祝う行事は
行わないこととされる。
なお、翌13日の吹上御所での御昼餐に際しては、
侍従長始め侍従・女官・侍医等20名より鰻重の献上をお受けになり、
皇后と共に一同に御相伴を仰せ付けられる」

昭和天皇ご自身が祝賀行事を辞退される「御意向」だった為に、
側近に仕える侍従らがポケットマネーを出し合って、
昭和天皇の好物だった鰻重を差し上げただけという、
まことにささやかなお祝いの仕方だった。

上皇陛下は当日をどのようにお過ごしになられただろうか。
上皇陛下が末永くお健やかに、心穏やかにお暮らし下さることを
切に祈り上げる。

しかし、上皇陛下に真にご安心戴く為には、1日も早く、
皇位の安定継承への道筋をお示しすることが、
どうしても欠かせないだろう。
非力ながら、そこに力を注ぎたい。

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