高森明勅

令和の時代に日本史上“お2人目”の女性皇太子が誕生されるか?

高森明勅

皇室・皇統問題
2022年 5月 30日

 

先日のブログで「今上陛下には敬宮(としのみや、愛子内親王)殿下という
…光輝くようなお子様(皇子)がおられる」(カッコ内は原文のママ)
と書いた。

ここに出てくる「皇子」という語について、
「“皇子”は男性のお子様を指す語なので、“皇女”が正しいのでは?」
と疑問を持った人がいたかも知れない。

確かに「皇子」という語は、男性のお子様“だけ”を限定的に指す用法もある。
その場合は普通、“おうじ”と訓む(『新潮国語辞典〔現代語・古語〕改訂版』
『明鏡国語辞典 第2版』『岩波国語辞典 第8版』など)。

しかし、“こうし”と訓んで、「天皇の子、また、天皇の男の子」
(『広辞苑 第5版』)「天皇や天子の子、また、その男子だけに
用いることがある」(『日本国語大辞典』第7巻)という具合に、
男女を問わず、「天皇の子」を指すのが、主な用法だ
(但し『三省堂国語辞典 第4版』は“おうじ”と訓んで「天皇の子」とする)。

現に皇室典範でも、「皇子」は男女どちらも含む「天皇の子」
を意味する語として、用いられている。
第6条に以下のようにある。

「嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫は、男を親王、女を内親王とし、
三世以下の嫡男系嫡出の子孫は、男を王、女を女王とする」

従って、第8条に「皇嗣たる皇子を皇太子という」とあるのは、
この条文自体としては「男子」に限定して“いない”ことになる。
もし第1条が改正され、皇位継承資格の「男子」限定が解除されたら、
第2条の皇位継承の順序の第1号「皇長子」に該当するのは敬宮殿下なので
(秋篠宮殿下と悠仁親王殿下は第6号「皇兄弟及びその子孫」、
常陸宮殿下は第7号「皇伯叔父及びその子孫」)、直ちに「皇嗣」になられ、
第8条の規定によって「皇太子」とお呼びすることになる。

それは即ち、天平10年(738年)に阿倍内親王
(聖武天皇の皇女、後の孝謙=称徳天皇)が「皇太子」になられて以来、
日本史上“お2人目”の女性皇太子が誕生することを意味する。

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