高森明勅

靖国参拝しなかった安倍首相が「脅かしに屈せず」?

高森明勅

2013年 4月 27日
4月24日の国会で安倍首相は、
閣僚らの靖国神社への参拝に対し、
中韓両国が反発していることについて、次のように答弁した。

「国のために尊い命を落とした尊いご英霊に対して、
尊崇の念を表するのは当たり前のことであり、
わが閣僚においては、どんな脅かしにも屈しない、
その自由を確保している。これは当然のことだ」と。

まことに「正論」だ。

だがこの発言に、無条件で拍手喝采出来るだろうか。

何しろ、当のご本人は参拝していないのだ。

「当然」「どんな脅かしにも屈しない自由を確保している」
のであれば、安倍首相ご自身は
「尊いご英霊に対して、尊崇の念を表する」
「当たり前」の行為である靖国神社参拝を何故、行わなかったのか。

安倍首相はかつてポスト小泉をめぐり、
「誰が次の首相になっても、
小泉首相の靖国参拝は受け継がれるべきた」と言いながら、
自分が首相になった時に参拝しなかった前歴がある。

そのことについて、昨年の自民党総裁選では「痛恨の極み」
とまで言いながら、
この度も、靖国神社春の例大祭での参拝を見送った。

政治の要諦は、「信なくば立たず」(『論語』顔淵篇)。

「信」がなければ政治の根本が立たない。

「信」とは、言葉と行いが一致することである。

振り返ってみると現在、首相の靖国神社参拝が中断しているのは、
安倍首相が第1次政権当時、小泉首相が復活させ、
継続していた参拝を見送ったのが、そもそもの原因だった。

安倍首相はいつ、靖国神社を参拝される覚悟なのか。