小林よしのり

資本主義の常識に従え

小林よしのり

2014年 12月 2日


特に経済学を勉強してなくても、常識でわかることがある。

政府が株価を操作して上げれば、経済が良くなるというのは、

資本主義の自然な形ではないし、あり得ないトリックである

ということだ。

 

まず需要があるから、供給しようという企業の意欲が生まれる。

あるいは企業が供給したら必ず需要が生まれるという確信が

あるモノが完成したから、設備投資して供給する。

こうして民間における実体経済が良くなるから、投資しようと

考える人が増えて、株価が上がる。

株価は実体経済を反映していなければならない。

これは資本主義の常識だろう。

 

たったこれだけの常識を否定し、国家社会主義の計画経済みたいに、

まず政府主導で円安誘導して、強引に物価を上昇させ、経済成長

してるように見せかけようというのが、アベノミクスという

トリックである。

 

しかもグローバリズムにおいて、富のトリクルダウンは起こらない

という原理は、光速度が30万km secondで一定という宇宙の真理

くらいに揺らがない。

 

世界史上、例のないスピードで進行する日本社会の少子高齢化は、

もうどうにもならない景気低迷の最大要素なのだ。

この少子高齢化をいかに食い止めるか?

それだけが政府のあり得べき経済政策であるが、安倍政権はその

真反対の弱肉強食・超格差社会を目指す政策をとっている。

 

経済成長のための代案などあるはずがない。

政治家に少子高齢化を食い止める強い意志があれば、

それに従った政策を政治家と官僚で出し合えばいいだけだ。

 

消費増税は政策を担保する財源の確保のため、将来の社会保障の

ため、やむを得ない選択であり、そのときには、富裕層から、

あるいは企業の内部留保から、より多くの税金を徴収するしかない。