時浦兼(トッキー)

「おそれる」感性---県北部地震から一週間---

時浦兼(トッキー)

震災・原発問題
2014年 11月 30日

長野県在住の門弟から
先週の地震に関する
報告が届きましたので、
ご紹介します。


 長野県北部震源の地震が
起きてから一週間が経ちました。
長野冬季オリンピックのジャンプ会場となった
シャンツェのある白馬村、さらに北の小谷村
(両側が急斜面の谷。下っていくと糸魚川に出る)は
特に被害が大きく、倒壊したり、傾いて
住めなくなった家屋が多数です。
谷の斜面に貼り着くように通るJR大糸線や
国道も土砂崩れや隆起に見舞われました。
 地元紙(信毎)は、地震発生からわずか数時間後の
翌朝の緊急大見出しの記事から始まって、
毎日トップで現地被害の様子、
避難者の住宅確保等の様子を詳しく伝えています。
 一週間経った今朝の見出しは
「白馬全壊家屋解体始まる--いとしいわが家涙の別れ--」でした。
解体作業に立ち会い目がしらを抑える老婆の写真、
そしてその呟き「自然のことだから仕方ない・・・」とあります。
 県北部はもともと雪深い地域で、これからその冬を迎える時期。
また、ここは特にオーストラリア方面からのスキー客が多く、
この冬の観光への影響も心配されています。
 2011.3.11のあの巨大地震と
同年の6月に松本地方で起きた長野県中部地震、
そして今回の北部地震、ともに
静岡--糸魚川構造線上で起きています。
いずれも大きな揺れは中信・北信に局限されていました。
---日本の地下はいつ動いてもおかしくない
危険な罅だらけなのですね。
 先日、静かな夜に突如として揺れ始めた時は
「・・・とうとう来たか・・・(東海の大地震を想像した;;)」、
そして災害って穏やかな日常にズン!と
容赦なく割り込むんだな、と思いました。
この辺りは大した揺れにならないで済みましたが。
 今年信州は2月の記録的大雪に始まり、
夏は木曽の集中豪雨・山崩れ、秋は御嶽山噴火、
今回の地震、と天変地異が相次ぎました。
 今朝の新聞の老婆の言葉
---【自然のことだから仕方ない・・・】---は
きっと昔々から恵みと災害を合わせ持った
「自然」の中で生き、有難く収穫し、
また災害も受け入れて黙々と暮らしを立て直し、
世代を繋いできた、---沁み着くように持っている感覚の
それこそ「自然な言葉」だと思います。
 【人知が及ばない領域の大きさ、
 容赦なく突然起こる自然の動き】
---これは確かにあって、科学的な研究・洞察を
すればするほど、そういう危うさの上に
営々と暮らしている事実を知らされるばかりです。
 「おそれる」は「恐れる」でもあり「畏れる」でもあります。
神主さんの「かしこみ(畏み) かしこみ まぉまぉすぅーー・・・」
とは、そういう「畏れ多い自然」と会話?!する
人間の立場を表しているのだと思います。
 そしてその感覚は分厚く奥底からのもので、
「近代合理主義」の薄い薄い殻の下に、
そこ(合理)で得たような理屈を越えて
多くの人々が先祖代々地層の如く
持っているもののように感じています。
 そういう「畏み申す」感性の代表・最高の立場におられるのが
天皇陛下であり、皇室の存在ではないでしょうか。
 恐れ・畏れを感じようとしない、または感性が退化して
しまった人々が政治やマスコミ、言論界、
いわゆるインテリ層にたくさんいるような気がしてなりません。
 というかそういう感覚の退化した者こそを自他ともに
「インテリであるぞ。クールで立派な指導的人間じゃ。」
と思い込んでいるのではないでしょうか。