高森明勅

小林よしのり氏の「先見の明」

高森明勅

2014年 6月 17日

イラク戦争当時のことを振り返る時、忘れ難いのは、
漫画家の小林よしのり氏の発言だ。

当時、保守系の表現者で、あの戦争に明確にノーを突き付けたのは、
ほとんど小林氏1人だけだったのではあるまいか。

その先見の明はいくら強調しても、
決してし過ぎることはないだろう。

これまで何度も反省の弁を述べて来たように、
私自身、
フセイン政権崩壊後を不安視する気持ちはあったものの、
基本的には戦争支持の立場だった。

リスクを恐れず、ポジショントークを排し、
思考停止に陥るのを避け、
常に予定調和的な言論に挑戦して、
ひたすら自分が真に納得出来る判断のみを求める姿勢が、
その透徹した洞察を可能にしたのだろう。

その意味で、小林氏の新刊『保守も知らない靖国神社』
(ベスト新書)に、
大いに期待したい。

その内容全てに賛同出来るかはともかく、
これまでの凡百の靖国論にはない、刺激に満ち、
啓発されるところの多い、スリリングな書になっていることは、
ほぼ疑いあるまい。7月の刊行日が待ち遠しい。