高森明勅

目の前にある「参戦」

高森明勅

2015年 6月 29日

外交評論家の岡本行夫氏と作家の佐藤勝氏が、
安保法制などを巡って対談している(『WiLL』8月号)。

その中で、佐藤氏がホルムズ海峡での掃海活動につき、
こんな発言を。

「ホルムズ海峡の国際航路帯は公海ではなく、
主にオマーンの領海を通っています。

…そもそも国際法では、他国の領海内に機雷を敷設すれば
その瞬間に宣戦布告として扱われ
、戦争状態になります。
その機雷除去に参加するということは、
国際法的には一方の側に加わって参戦することを意味します」と。

つまり、国会で安倍首相が繰り返し「ホルムズ海峡の掃海をやる」

発言しているのは、「参戦するぞ、参戦するぞ」
と言っているに
等しい。

ホルムズ海峡を封鎖されたら即開戦というのは、
大東亜戦争の時より“導火線”が短いのではないか。

又、岡本氏も興味深い発言をしている。

私は今回の安保法制で立派な法整備がなされることを
期待している
のですが、他方で、整備されたあとは
日本はむしろ国際的に難しい局面に立たされるの
ではないか。

…『これからはできるようになりました』と宣言するわけですから、
『では行ってください』
ということになる。

そうしたら『いやいや、危ないところには派遣できません』。

そうなったら、日本は裸で国際社会の批判に晒される」と。

政府はいい加減、「平安」法案なんて誤魔化しは止めて、
国民に“正直に”
説明をしなければならない。

でなければ、法案が通っても、必ず禍根を遺す。