高森明勅

昭和天皇の最も悲しかったこと、嬉しかったこと

高森明勅

2015年 4月 26日

昭和50年10月、昭和天皇は日本記者クラブの代表らの
質問にお答えになった。

その中で「(ご在位中)最もつらく、悲しかった思い出」について、
お尋ねしている。

これに対し、昭和天皇は次のようにお答えになった。

「それはいうまでもなく、第2次大戦であると思います。
私はこういう悲しむべきことが、今後も起こらないことを
祈っております」と。

また「いちばんうれしくお思いになったこと」についても、
質問があった。

お答えはこうだった。

「終戦後、日本国民が努力して、
りっぱに日本の復興ができたということが
いちばんうれしく感じてます」と。

この2つのお答えに、昭和という時代が凝縮されていると言って、
敢えて過言ではないだろう。

「よろこびも かなしみも民と 共にして 年はすぎゆき いまはななそぢ」
(「70歳になりて」昭和45年の御製)


「やすらけき 世を祈りしも いまだならず くやしくもあるか
きざしみゆれど」
(「全国戦没者追悼式 8月15日」同63年の御製)