高森明勅

西郷隆盛の文明観

高森明勅

2015年 11月 20日

小林よしのり氏がパリのテロ事件に関連して、
西郷隆盛の遺訓を紹介されている。

さすがの着眼。

私も手元の『大西郷遺訓』(頭山満講評)から、
いささか重複するが、
西郷の文明観に関する箇所を引用しておく。

イスラム国をはじめ、欧米が直面している難題への重要な示唆に
なっているからだ。

文明とは道の普(あまね)く行はるるを言へるものにして、
宮室の荘厳、衣服の美麗、外観の浮華を言ふに非(あら)ず。
世人の西洋を評するところを聞くに、何をか文明と云ひ、
何をか野蛮と云ふや。
少しも了解するを得ず。
真に文明ならば、
未開の国に対しては、慈愛を本とし、
懇々説諭して開明に導くべきに、然(しか)らずして残忍酷薄を事
とし、己を利するは野蛮なりと云ふ可(べ)
し」と。

これから、過去の「残忍酷薄」な植民地主義と、
現代のグローバリズムの「野蛮」への、壮大な復讐が始まるのか。

或いは、それはとっくに始まっていた、と言うべきか。