高森明勅

元ヤクザや前科者は一生白眼視?

高森明勅

2017年 9月 21日

私の狭い見聞からも、こんな事が言えるのではないか。

卓越した人物の場合、本人の過去や親族、周辺の人間関係などに、
しばしば「訳あり」な事例を見かける、と。

それを一々事細かに調べ上げ、アラ捜しをして、
何か欠点を見つけたら、その欠点を誇大に取り上げ、
有能優秀な人材を次々と“葬り去る”ような事を繰り返したら、
一体どうなるか。

損失を被るのは社会それ自体だろう。

大衆は、ただでさえ妬みヤッカミが強い。

それをことさら煽り立てる「呪術者や司祭者」
(マックス・ウェーバー)
の役割を週刊誌やテレビ番組が果たす。

そうして優れた人材を潰しまくって、
果たして社会に活力は生まれるのか。

政治に指導力は育つのか。

文化に多様性が保てるのか。

学問は発展するのか…。

『週刊文春』(9月28日号)が、
野田聖子総務大臣の夫が元ヤクザで前科2犯だとか、
大騒ぎしている。

下らない。

というより、元ヤクザや前科を持つ者の
「更生」の邪魔をするような記事だ。

この記事にある野田大臣の夫が、
どのような人物なのかは知らない
野田大臣ご本人についても同様だが)。

だから一般論ながら、ヤクザは足を洗えば堅気。

前科を抱える者も罪の償いは既に済んでいる。

それをいつまでも蒸し返されたら更生は不可能になる。

偏見と差別意識を助長するような記事は悪質だ。

私自身、元ヤクザで前科8犯(!)の人物が立派に更生して、
公(
おおやけ)の為に尽くし、多くの人々から尊敬され、
愛される人生を送った事実を知っている。

この種の記事に過剰に反応し、
付和雷同するのはいい加減にすべきだ。