小林よしのり

夏目漱石の「こころ」

小林よしのり

日々の出来事
2018年 3月 7日


読者カードにこのような感想があった。

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『新・堕落論』兎に角「第15章 夏目漱石の『こころ』が

圧巻。

白状しまして『こころ』は未だ読んだ事がありませんでした。

しかし小林先生の手になる鮮やかな、かつてない古典の

「漫画化」は、この章だけで購入の元が取れる、価値がある

と思います。

明治大正期を生き、近代化していく日本を慨嘆する漱石の

心情を読み解く事で、日本人の堕落は明治時代に「胚胎」

していたという考察は納得せざるを得ません。

明治期にまであった日本人の「倫理観=死生観」は果たして

危険で無価値なものでしょうか?

いや、大東亜戦争の末期に蘇った「特攻精神」この時に

「民族として激烈な意気地ある態度」を欧米人に見せつけた

祖先達のお蔭で、今の自分たちは生まれる事が出来たと認識

しています。

最終章、ラストページの「命は単なる手段である」

(=いかに使うかにこそ価値がある)この言葉は噛みしめ

たいと思います。

それにしてもこの平成の世に、孤独に「堕落」に抗しておら

れるのが他ならぬ天皇陛下だという思いも強くなりました。

57歳・男)

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ずっと昔から『こころ』の解読が、みんな間違っていると

思っていて、やっと描くチャンスが来たわけだ。

それを分かってくれる読者がいた。

長年、いつかいつかと思いながら温めてきた読み解きが、

あのたった一章に収納されてしまったわけで、その重要度

を分かってくれる読者がいた。

こういう時にはトカトントンが止まってしまう充足がある。

まだまだ捨てたもんじゃないとも思えるのだが。