泉美木蘭

高層タワーが売れる理由。富裕層のタワマン節税

泉美木蘭

2016年 2月 21日

朝焼けの空とタワーマンション。

36階建てらしいけど、手前の森がうまくかぶさって低く見せてくれるので、
そんなに嫌味に感じないという。
以前、知人が15階Overの部屋へ引越すので作業を手伝ったことがある
んだけど、一息ついて、みんなでベランダから街を見下ろし騒いでいたら、
知人が、暗ーい顔して手すりに体を寄せて真下を見ながら
「・・・こんな、いつでも自殺できる部屋に引越して、大丈夫かな・・・」
とつぶやいたのを、いまでもよく覚えています。
同棲解消して独り暮らしをはじめるタイミングだったのでした。
でもそんな高級な部屋に暮らせる人は、モテます。
全然大丈夫のようで、いまはパートナーの方と、もっと高層のタワーへ
引越されたのでした。

きのうのつづき。
鉄筋コンクリートの建物を作るのに必要な、鉄筋工や型枠職人が
不動産不況のあおりを受けて転職してしまい、人材不足となって
低層マンションの建築費が高騰、それなら広い土地を確保して、
超高層のタワーマンションを建てるほうがよい、という都心の状況。

新宿区、渋谷区、目黒区、港区、あと品川区も新幹線フィーバーで
高層タワーマンションがぼこぼこ建っている。
木造2階建てアパートで日々の地鳴りにドキドキしてる程度の私は、
よくこんなに値段の高いマンション売れるよなあ、都心ってそんなに
金持ちが終結していたのかあ、と圧倒されてしまうんですけど。

なぜそうも建てるかというと、売れるからで。
都心の高層タワーマンションは、お金持ちにとってはいま、注目の
アイテムなのだそう。
ステイタスとか、街を見下ろしながら暮らす優越感とか、いろいろ
聞くけれども、マンションを売る側が特に押しているのは、『節税』
相続税を大幅に節約することができるのだそう。

たとえば、相続税率が50%の方の場合、
2億5000万円を現金を持っていると、1億2500万円が相続税に。
そこで、2億5000万円の高層タワーマンションを買っておく。
すると、マンションは、買った値段よりも土地の専有面積で相続税の
評価額が決まるため、敷地面積だけを単純計算することになり、
評価額は5000万円程度に激減するらしい。
そうなると、相続税がかかるのは、5000万円の50%で=2500万円
これで、1億円も節税できるということに。

高層タワーマンションの場合、眺望の良さや日当たりなどが価値を
高めるので、高層階ほど値段が高くなるのだけれど、相続となると、
専有面積のみが評価対象になるので、1階でも50階でも同じ。
だから、なるべく高層階のマンションを買っておいたほうが、
評価額の落差が大きく、節税になるのだそうだ。
私からすれば、なんのこっちゃら、まったく関係ねーわ、という話だけど。

さらに、買ったマンションを賃貸しておくと、路線価格やらいろいろな
評価基準が加わってお得になるそうで、高層階のタワーマンションを、
自分の子供に賃貸する、というのが「富裕層あるある」になりつつあるとか。

ある高層タワーマンションのコマーシャル記事を読んでいたら、
2億のマンションを買って、36歳の息子夫婦に賃貸しているお父さんが、
「タワーマンションに住みたいという息子の夢もかなえてやれたし、
相続税もかなり節税することができるので、大満足です」
と語っていた。
富裕層の子は、富裕層・・・かあ。