高森明勅

天皇が「牛車」に乗らなかった理由

高森明勅

皇室・皇統問題
2019年 5月 15日

平安時代から室町時代にかけて、
上皇をはじめ皇族や貴族が乗った牛車(ぎっしゃ)。

文字通り、牛が牽(ひ)いた。
最高級の牛車は「唐車(からぐるま)」と呼ばれ、
上皇などが乗る。

ところが天皇は牛車に乗らなかった。

何故か?

牛に牽かせる為に、暴走する恐れが皆無ではない。
だから“より”安全な、人が担ぐ「輦(れん)」と呼ばれた
輿(こし)で移動された。

この一事だけからでも、国家の公的な秩序において、
天皇は上皇より上位にあった事実を知る事が出来る。