YOSHINORI KOBAYASHI OFFICIAL SITE | 小林よしのり公式サイト

小林よしのりオフィシャルwebサイト

PROFILE LINK CONTACT
2018.08.12(日)

20年前のインタビュー「わしが『戦争論』を描いた理由〈下〉」

 

(byよしりん企画・トッキー)

20年前、『戦争論』発売直後のよしりん先生インタビュー、その第2回です!


わしが「戦争論」を描いた理由〈下〉

情の及ぶ範囲は日本
――小林先生のそのバイタリティの根源にあるものとは?
小林 わしは人情という一点からしかやってないんですよ。
左翼がご都合主義だと思うのは、弱者の人権を守るといいながら、国のため家族のためと思って戦争に行って、戦後はその言葉を封殺された旧軍人の人権を無視しているからです。
わしは部落や薬害エイズの弱者、被害者に大いなる同情をしたと同様に、国のために戦ったはずなのにその後何も報われないお年寄りにも大いなる同情をした。
わしが動いたのは人情という、その一点ですよ。
しかしその人情を寄せる相手というのは基本的には日本人です。
だからわしはいわゆる「ハルモニ(韓国語でおばあさんの意、ここでは元韓国人慰安婦のこと)」とかには情が沸かないんです。
左翼が敢えてハルモニを取り上げるのはそれが彼らの運動戦略にとって都合がいいからです。
わしはそこまでは自分の共感の意識は伸びていかない。
共感できる範囲は日本人までが限度です。

――「個と公」といったときの「公」の最大のものは国だと。
小林 そう。国なんですよ。そこまでしか意識がいかない。
同じ日本語をしゃべって、日本の風土の中で育った人間ならば北海道でも沖縄でも感覚が通じるだろうと思う。
しかし、やはり韓国や中国、ましてやアフリカとなると感覚は相当ずれてくると思うんです。

――風土や宗教、民族性の違いなどどうしても共感できないものがでてくるわけですね、外国では。
小林 共感ができないですね。
ですから個人の倫理を支える公共心とは国毎に違うんです。
国の範囲で公共性というものを考えなければ、なるべく多くの人間に共通の倫理観やモラルというものは形成できないんじやないか、と思うんです。

公の言葉には覚悟が伴う
――戦中派の方たちは国を双肩に担っていた、それ故に個人の規範もしっかりしていたわけですね。
小林 公の言葉とプライベートな言葉とがあって、それぞれのけじめがあるのがまともな社会だと思うんですよ。
戦争に行く場合、「国柄やわが同胞を汚す敵に対しては断固戦う」というべきなんです。
そりゃ、誰でも「怖い、死ぬのは嫌だ、戦いたくない、身内と安泰に暮らしたい」などという、個人のエゴの部分はあるでしょう。
しかしそれは公に出して言うべき言葉じゃない。
ところが今や日本は公の中でそういうことが堂々と言えてしまう世の中になってしまっている。
電車内で化粧をする女性から、国益よりも自分の利益、省益を優先する官僚に至るまで、今やプライバシーが公共空間に流れ出してしまっている。
道徳心、公共心がないからそれを恥とも思わないわけだけれども、実はそれはものすごく醜い社会なんです。
やはり人間の生き方として美しいのは「公のために」という方向があるときです。
わしがオウムと戦っていたときは、命を狙われていましたから、そりゃ怖かったですよ。
でも「本当はこわいんだ」とか描いたらゴーマニズム宣言にならない。
個人のエゴを超えて「俺は絶対負けない」という公的な言葉にしなきゃいけないんです。
するともう自分はそう振る舞うしかなくなる。
そこで自分が崩壊せずに済むというところがあるわけです。
つまり公的に吐いた言葉が自分に返ってきて、自分を支えているわけです。
要するに公的な言葉を吐くということは覚悟がいるわけですよ。
プライベートな言葉を吐くのに覚悟なんていらない。
今、覚悟なくただだらだらとしゃべっているという言論が多すぎる。
しかし、公に向かう覚悟ある言葉こそが個人を成熟させていくわけです。

――少なくとも戦中派の人たちが大東亜共栄圈と言っていた言葉には覚悟が伴っていた。
小林 そうです。建前だけの言葉じゃなかった。
大東亜共栄圏という公の物語に命を賭けた将兵がたくさんいた。
そして彼らは個を超えた勇気を我々に、日本の歴史に残してくれたのです。
平成十年七月十七日インタビュ―
(「日本の息吹」平成10年8月号)

今や「息をするように嘘をつく」とまで言われる、言葉に一切何の覚悟も責任感もない人間が首相。
そして道徳心も公共心もない人間が高齢者にまで大量発生して、社会問題化してしまっています。

20年前は「暴走老人」なんて言葉もなく、そんな世の中が来ようとは思ってもいなかったのですが…。

『戦争論』が鳴らした警鐘は、どこまで届いていたのか。
その検証も必要となってくるでしょう。

さあいよいよ今日・8月12日(日)、TOKYO MXテレビの『激論!サンデーCROSS』(11:59-13:25)の「激論CROSS」のコーナーは、
「“戦争論”から20年~太平洋戦争をどう捉えるか~」
よしりん先生と呉智英氏が登場!
お見逃しなく!

東京以外の方は「エムキャス」で!