2018.08.06(月)
お前の死ぬことが国家に役立つのだ
「ゴー宣道場」でわしが言ったルソーの言葉を紹介しておく。
わしの『民主主義という病い』(幻冬舎)で、描いた言葉だから、わしの読者なら、知っているはずだ。
「統治者が市民に向かって『お前の死ぬことが国家に役立つのだ』というとき、市民は死なねばならぬ。
なぜなら、この条件によってのみ彼は今日まで安全に生きてきたのであり、また彼の生命はたんに自然の恵みだけではもはやなく、国家からの条件付きの贈物なのだから」
ルソーの「社会契約論」の有名な一節である。
近代民主主義が誕生する原動力となったのが、ルソーの「社会契約論」である。
朝日新聞が民主主義の教師のように重宝する高橋源一郎が、民主主義とは何かを説明するときに、絶対に伏せてしまう一節である。
民主主義も、国民国家も、基本は軍隊を持ち、徴兵制を敷くことから始まったのだ。
井上達夫氏が徴兵制を主張したからと言って、今さら驚くのが不思議でならない。
フランスにおいても、日本においても、国民国家になるときには、軍隊を持ち、徴兵制を敷いた。
それが民主主義の基本であり、自由・平等・同胞愛の基盤ではないか!
全く当たり前のことを、今では政治家も知らないのだから、思わず貧血を起こしそうになる。
福岡で「ゴー宣道場」のゲストに来てくれた憲法学者・井上武史氏が、わしの著作で一番好きなのが『民主主義という病い』と言っていたが、もはや学者しか読めない漫画だったのかもしれない。
政治家ならば、ルソーの「社会契約論」くらいは読んでいてほしい。