わしにも孫が出来ている
わしは漫画一本に人生を賭けるために、子供をつくることを「断ち物」として生きてきた。
わしの子供は読者だと思って生きてきたわしにとって、一番嬉しい便りが個人サイト当てにあったので、紹介する。
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先生こんばんは。
9月1日に6歳になったばかりの、うちの娘(幼稚園)が、家にある「おぼっちゃまくん」を読み尽くして、相当キャラにも精通して、とうとう、棚の上にあった茶魔が表紙の「わしズム」に手を出して、さっきまで楽しく読んでいました。
最後に全員で、びんぼっちゃまの家でゴミを食べる、という強烈なオチが相当面白かったようです。
親の自分(38歳)としては、別に子供に押し付けたりむりやり読ませたりしていませんが、うちの家の本棚にある漫画は、ブラック・ジャックと火の鳥とおぼっちゃまくんと、こち亀と、ゴーマニズム宣言しかないので、勝手に娘や息子(7歳)は本棚の漫画を読んでいます。
そして、この前、NHKでオウム真理教の特集をした番組を見て、とうとう、息子(7歳)が、僕に、「ねえ、お父さん。オウムって何?」と聞いてきました。
僕が15歳の時、1995年に地下鉄サリン事件が起こりました。
もう23年も前のことです。
オウム事件の前後に、僕は、偶然本屋でSPA!を見て、15歳のその時、初めてゴーマニズム宣言が、確か7巻ぐらいまで出ていたのを知りました。
そして、ほんの数週間で、もちろん新刊で全巻を買い揃えて、本当に毎日読んでいたのを覚えています。
だから、一瞬、息子に、どう説明しようか戸惑いました。
だから、息子にはこう説明しました。
「昔、オウムという、おかしなやつらがいて、地面の下を通っている電車の中で、人が死んでしまう、毒ガス、わるい毒をまいた。そしてたくさんの人が死んだ。」
そして、「あなたが、いつも読んでいる『おぼっちゃまくん』を書いた先生が、お父さんがまだ中学生のころに、この悪いオウムというやつらと戦った」と言いました。
子供に限らず、人間は、自分が知っている何かと何かがつながった瞬間、新たな発見や驚きを得ると思います。
息子もそうでした。
「で、おぼっちゃまくん書いた人が勝った」というと、息子は、「みたい!今度見せて」と言ってきました。
うちの息子はとても驚いて、うれしそうな感じでした。
先生が常におっしゃっている、常に新しい読者が入る、読者が入れ替わる、というのはこういう事だと思いました。
特に愛媛県は、未だに部落差別が根強く、信じられないことですが、普通に「お前はエタだ!と」何の根拠もなく他人に言う人もいます。
僕も今までの人生で、誰かが誰かにそう言われるのを2度間近に見ました。
ゴーマニズム宣言の1巻で、部落差別の章を見た時、僕は頭を殴られたような衝撃を受けました。
僕は息子や娘にむりやり読ませたりは絶対にしませんが、「おこっちゃまくん」は見せても理解できるなと思ってさっき見せたので、子供が興味があれば、みせたいなと思います。
小林先生。僕は毎日とても仕事や家族と過ごす時間が忙しく、とてもゴー宣道場などに参加する余裕はありません。
すみません。先生の作品を小さい時から読ませてもらって、今も本棚にあります。
読みまくって、落書きしまくって、子供がさらに読んで、表紙がなくなったり破れたところもありますが、「おぼっちゃまくん」は本当に僕と家族の大事な作品です。
自分が小学校に入る前に買って読んでいた作品で、また小学生で買った本をそのまま、6歳と7歳の子供が読んでいるのが、とてもうれしいです。
これからもがんばってください。
たぶん、こんな世帯が日本で何万とあると思います。
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わしにもとうとう孫が出来ている。
これで良かったのだと思えるありがたい便りである。