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2018.07.05(木)

陰陽の差と境界線が庶民なら分かる

 

非日常やアブノーマルや異形の世界に憧れて、接近してみたくなるのは、自分の平凡な日常に自信を持てない個の揺らいだ大衆だからだ。

殺人者が書いた経験談は、いくら文章を修飾しても、ドキュメントとしてしか読めないのであって、創作者は殺人者本人にも気づかないほどの殺人者の心理を描かねば面白くならない。

本物の創作者は非日常の世界に生きていない。
まるで宗教者のようなストイックな世界に生きている者こそ、最も遠い非日常まで飛距離を伸ばすことができる。

世界は陰陽で成り立っていて、陰の世界に光を当ててはいけない。
最近では、陰の世界の住民が光を欲するし、陽の世界の住民も光を当てるべきだと主張する。

かくして陰陽の区別がつかない薄明るい世界がどこまでも拡がって、正義と悪の差も、安全と危険の差も察知できない人間が増殖していく。

非日常もアブノーマルも異形も、全部自分の内部にあることに、気づかせるために、わしはギャグ漫画を描いている。