2015.05.11(月)
黒木華という女優の凄さについて
「天皇の料理番」の黒木華がすごすぎる!
可愛すぎる!感動する!泣いてしまう!
ああいう役は普通なら、男に従順な女というフェミニズム
からの批判を受けそうな役柄なのだが、黒木華はそんな
短絡的、紋切り型の批判を受け付けない女の主体性を、
どうしても感じさせる光を放っている。
その主体性があるから美しいし、可愛いし、愛おしい。
あの愛おしさは本当に危ない!惚れてしまう。
あんな女は理想だと感動する。
時代はまだまだ明治だし、大家族制度と男尊女卑の因習が
強く残る背景があったはずだが、男に惚れた女の強さが
見事に発揮される脚本の上手さも見事だと褒めたい。
だがわしは思うのだが、あの初々しい妻の役を柴咲コウ
(好きな女優だが)のような目の大きな洋風の顔で演じたら、
嘘っぽくなったかもしれない。
黒木華が目が小さいのがまたあの役柄に合っている。
表面的には自己主張の強さが全然見えないのに、
惚れた男の夢を信じられるなら、エゴを封印できる女の
一途さ・強さが見事に表現されていて、美しい。
夢だけ追いかける夫からの出世の手紙を読みながら喜びが
込み上げ、最後の言葉に「ジュテームって何?」と反応する
黒木華のいじらしい演技に、もう涙が込み上げて
嗚咽しそうなほど感動してしまった。
目の小さな女優と言えば、田中裕子だが、こっちも
朝ドラの「まれ」で見事な演技を披露している。
だが、田中裕子と言えばやはり「天城越え」で、
黒木華とは違う女の「恐さ」が原型にあると思う。
現在の胆が据わり切ったあの演技は、黒木華とはまた違う
凄みなのだ。
黒木華と田中裕子を比較して観察する楽しみもあるので、
黒木華が今後どんな女優になっていくか、注目していこう。