2014.05.24(土)
帰国便の機内で「小さいおうち」を見た
帰国したが、機内で一睡もできなかったのに、
昨夜も5時間で目が覚めたので、これから時差の調節を
しなければならない。
国内の情報も隙間を埋めなければならない。
笹さんがゴー宣ネット道場のブログに書いた
「ぬるま湯のカエル」には感心した。
わしもまったく同じ感覚を持っている。
笹さんがここまで歴史を俯瞰して考えているとはなあ。
帰国の機内で映画『小さいおうち』(山田洋次監督)
を見たのだが、実に上手い視点で描かれていて面白かった。
笹さんにもぜひ見てほしい。
満州事変、支那事変が始まっている昭和初期の日本は、
東京の一般家庭で女中を雇えるほど豊かで、
平和な暮らしを続けていた。
東京はまるで今の日本のように、事態の深刻さにまるで
気付いていないし、東京オリンピックの開催が期待されていて、
穏やかで明るい。
日米開戦以降に景気が悪くなって、その時はもう取り返しが
つかない事態になるのだが、それでも不倫が行われるような
日常は続いている。
現代の若者が左翼の「十五年戦争史観」でその時代を見ると、
日本はもっと暗い時代でなければならず、
元女中のタキの回顧録が奇妙に感じられる。
左翼と思っていた山田洋次が、ナショナリストの視点を
皮肉るのではなく、左翼の視点を皮肉る形で、
控え目な反戦映画を作っているのが面白い。
だが、こういう勇ましさのない映画が、あまり話題にならないのが、
すでに歴史が繰り返している予兆なのかもしれない。